全速力で逃走

自分を渦の中に置いてみる。
目一杯、流される時には流されてやれと、ホステルの前でであったドバイ人と飲みに行く。旧市街の軽く飲んだあと、新市街の方でビール祭りがあるとのことで、そっちへ行くが、なんだか分かんないうちに、トルコのキャバクラ。シリコンガールがくっついて来て、耳元でペチャクチャしゃべりながら、シリコンの感触を試したり、チックポイントがどうのとか。ビールを数杯。英語でナンパするのは大変だ。というか、何話していいんだか分からんとのんきな感想。蛇足だけれども、トルコのビールはまずい。
そろそろ帰るかなと、そのドバイ人と話してチェックしてもらう。えーと、桁がうまく数えられないんだけど。正確な金額はおぼえていないのだけれど、0がいっぱい並んでいる。
オフィスに呼ばれて会計。そのドバイ人と折半ねと。えーと、一人当たり1200ユーロ。この時手持ちが40YTL。トイレに行かせてもらって出口が無いかと探すが、地下のため、上に小さい窓が一カ所あるのみ。でるとドバイ人はクレジットカードで支払いを済ませている。というか、一度カウンターの方へ行って、札束を持って帰って来た。
僕は、とりあえず手持ちが無いので、それを伝えてホテルに行けばある、ある、心配するな、日本人はリッチだからと伝えて、ちょっと猶予。ホテルの名前が分からない振りをして、ガイドブックを見ながら、裏口のありそうなホテルを探す。が、そんなんガイドブックなんかみてたって分かるわけねえ。近くまで行けば分かると伝え、できるだけパターンを増やす。とりあえず、車でスルタンアフメットまで向かうからこっちへ来いと外へつれられる。そのドバイ人は人質ということで、僕が帰らない限り解放されないとのこと。外へでると車が一台。運転手が乗っている。ドアを開けてもらって乗り込む。辺りを見回すと、あまりトルコ人は居ない。反対側のドアからごっついトルコ人が乗り込んで来た。ドアに鍵はかかっていない。あけるノブは乗った時に確認した。さらばドバイ人。
向こうがドアを閉め、座ったタイミングで、ドアを開けて全力疾走。大通りにでて、とりあえず一つ目の角で曲がる、また一つ目の角で曲がる。雪のつもった陰に体を埋めた。
ちょっとしてから、通りにでてみる。追っ手は来ていない様子。向かいのホテルで手招きしている人が居る。辺りを見回し、そのホテルまでまた走る。息切れが酷い。タバコやめんと。
そのホテルの人は、僕の様子(走って来て、隠れてまた走ってみたいな)をみて、よんでくれたみたい。結構、やっぱり新市街はそういう人が多いみたい。しばしロビーで休ませてもらって、タクシーを呼んでもらって、ホステルに無事戻る。

決してお勧めしないけれど、やってみると案外楽しいイスタンブールワイルドライフ。走ってるときのスリル、所謂狩られる立場というのはたまらないものがあります。これでお金払わずに逃げられたらベストだったんだけど、手持ち40払ってしまった。まあ、それくらいでお酒飲んで、女の子としゃべって踊って触って(笑)逃げて(笑)なんでまあ、うん。

そのドバイ人の写真とメールアドレスは聞いていて、もし、ドバイに来るときは連絡してよ、と言われてるんで、ちょっとこれからドバイ行くよ!と連絡してみようかな。おそらくというか、明らかにそのドバイ人はグルなんですが、なんか、その直前に知り合ったトルコ人の家で夕飯ごちそうになってたり(これも後で聞くとけっこうヤバかったらしいんですが)で、なんか流される気分になってた。
思ったより、というか、そんなシチュエーション思っちゃいなかったのだけれど、そんなにテンパリませんねーとリポートも淡々と。日本の皆様、帰ったらその時のドバイ人の写真、お見せします。

えーと、とりあえず、私無事です。